保湿成分としてここ数年で認知度を急速に拡大している
「ヘパリン類似物質」をご存じですか?
広告や店頭で目にされた方も多いのではないでしょうか。
市場では「ヘパリン類似物質」を配合した商品が活況で、
様々なメーカーから発売されています。
今回は「ヘパリン類似物質」について市場の状況や今後の展望について、
考えていきたいと思います。
1.「ヘパリン類似物質」とは?
「ヘパリン類似物質」の「へパ」は
「肝臓」という意味であることからもわかるように、
人間の肝臓で作られる糖類の一種「ヘパリン」という物質と似た化学構造を持つ成分です。
水分子を引き寄せて保持する“保水性”があるため、
高い保湿力が期待できます。
血行促進や抗炎症作用もあり、
医療現場では、アトピー性皮膚炎や乾燥による皮膚疾患の治療薬として使われています。
分類としては、下記のように3つあります。
① 医療用医薬品(医師の処方が必要な薬)「ヘパリン類似物質」配合量は0.3%
② 一般用医薬品【第2類医薬品】(薬局等で購入できる薬)「ヘパリン類似物質」配合量は0.3%
③ 医薬部外品(薬局等で購入できる。医薬品ではない)「ヘパリン類似物質」配合量は0.3%未満
※化粧品、医薬部外品は配合量の掲載義務がないため、開示していない商品がほとんど。
②一般用医薬品と③医薬部外品は、両方とも店頭で購入することができますが、
製品パッケージが似ているものが多く、区別するのが難しいため、
副作用を含めきちんと使用目的を明確にして選ぶことが重要になってきます。
2.「ヘパリン類似物質」配合の医療医薬品が社会問題に
SNSで“化粧品よりも安価で効果的”と話題になり、20代~50代の女性たちの間で
「ヘパリン類似物質」配合の医療医薬品を美容目的で使用する人が増え、
2014年~2015年度にかけて「ヘパリン類似物質」の処方が大きく増加し、
医療費が60億円にまでふくらみ、社会問題になりました。
公的医療保険財政がひっ迫する中、厚生労働省は、2024年10月より
「へパリン類似物質」が配合されていることで有名な「ヒルドイド」を含む、
特許切れの先発医薬品については、患者の窓口負担が増えることを発表しました。
この措置により、
処方箋のいらない一般用医薬品【第2類医薬品】や医薬部外品に消費者が流れる可能性が高く、
病気で本当に困っている方が医療医薬品を使う、本来あるべき棲み分けができつつあります。
3.「ヘパリン類似物質」の市場動向
「ヘパリン類似物質」の市場規模は右肩上がりに伸びており、
認知度も拡大しています。
特に、コロナ禍による手洗い頻度の増加やアルコール消毒により、
手の乾燥や手荒れを気にする消費者が増加したことも追い風となり
「ヘパリン類似物質」を配合した商品の投入が多くみられ、
市場が活性化しているように感じます。
大手製薬会社の「ヘパリン類似物質」配合ブランドの中には、
製薬会社の強みをいかして、
一般用医薬品【第2類医薬品】と医薬部外品の両方をラインナップし、
医薬と美容の垣根を超えた戦略をとっているようなところもあり、
消費者の悩みの深度に寄り添う開発をしていたのが印象的でした。
アイテムとして注目したいのは「ヘパリン類似物質」を配合した化粧下地。
最近はファンデーションを塗らずに化粧下地だけでメイクを済ませる方も多いので、
保湿と保水を叶える化粧下地は重宝されるのではないかと感じました。
4.「ヘパリン類似物質」配合コスメの展望
本来、皮膚疾患の治療薬として開発された医療医薬品が、社会問題になるくらい、
美容目的で使われてしまったとうのは、使う側のモラルが問われる部分ではありますが、
それだけ“乾燥ケアニーズ”が高く、
保湿効果の高い商品が求められているということの現れだとも感じます。
ただし「ヘパリン類似物質」は、普通の化粧品としては配合できない成分なので、
医薬品や医薬部外品にしか配合できないという点は、
開発していく上で押さえておかなければいけないポイントです。
年齢が上がるほどに『乾燥』の悩みが多くなることを考えると、
超高齢化を迎えている我が国では、まだまだ“乾燥ケアニーズ”は
アクティブシニアも含めて拡大していくのではないかと予想されます。
「ヘパリン類似物質」は成分としての認知が広がっている上に、
医療現場で治療薬として50年以上使われてきた実績のある成分なので、
今後もキー成分となっていくと予測されます。
シーエスラボでは「ヘパリン類似物質」を配合した商材を開発しています。
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