コロナが「5類感染症」となってから、2024年5月で1年が経過しました。
人々の生活も、以前の日常に戻りつつあります。
しかし、続く円安や物価高で節約志向が高まり、
美容院に行く回数がコロナ前に戻らない、という動きも見られました。
今回は、社会の動きをとらえながら、
2024年の美容業界の動きを振り返り、トピックスにまとめ、
今年の美容トレンド予想もしていきたいと思います。
1.久々に「リップアイテム」にスポットが当たった年
コロナ禍の影響を受け、
この2~3年マスクの下に隠れるリップ関連商品については
「落ちない」「マスクにつかない」といった“機能面訴求”のリップが多い印象でしたが、
2024年は、
久々にマスクを外して日常を過ごせるようになったことが影響してか
“質感重視”のリップの発売が目立ちました。
キーワードは「むっちり」「ぷっくり」。
特に韓国コスメは、
パッケージや見せ方(ビジュアル)も含め店頭で目立っており、
メイクの流行を牽引している印象を受けました。
韓国人インフルエンサーがプロデュースして話題となった商品は、
唇の温度でじゅわっととろけるようなテクスチャーになるのが特徴で、
むっちりとした濃密な唇に仕上がる点が若者を中心に支持されました。
透明感や瑞々しさを感じられるような“むっちり”とした唇は、
2025年も引き続き人気となりそうです。
2.「災害レベルの暑さ」に対応したコスメが続々発売に
2024年の夏は、
気象庁が1946年に統計を取り始めて以来、
2023年と並び“最も暑い夏”となりました。
特に7月以降については「異常気象」だといえる、
と気象庁の検討会が評価するくらいのレベルでした。
まさに“災害レベルの暑さ”に対応した商品が多く発売されていたのも
今年の大きなトピックスと言えます。
大手メーカーからは、
2024年3月に「湿度・温度ストレス」に着目した新シリーズが発売され話題となりました。
独自の持続型パウダーヴェールを配合したボディーシートや、お風呂で使う汗ケアのローション、
足のムレに対応したフットクリームやワキの匂いにアプローチするロールオンなど、
きめ細かいお悩み・不快に対応した商品を展開しています。
開発にあたっては、「周りの環境に左右されず、前向きに気分よく毎日を過ごせるように」
との思いが込められているとのことで、企業の本気度を感じました。
人気美容検索サイトの情報によると、
2024年は、口コミにおける「夏日」という出現率が増加するなど、
消費者の間でも悩む方が多く、
実際に同サイトが運営するショップでは、
日焼け止め・その他UVケアの売り上げが昨対比1.6倍に伸びたと発表しています。
今年も暑い夏となることが予測されますが
“暑さ対策”は外せないキーワードとなりそうです。
3.美容院の倒産件数増。消費者はセルフで「美髪課金」
2024年5月、
商工リサーチから、美容室の倒産件数が増加していると発表がありました。
コロナ禍では、在宅勤務やテレワークが浸透し、
対面での感染リスク回避から顧客が来店を控え、
苦境に立たされた美容室。
コロナが収束し、客足は回復傾向にあるものの、
物価・人件費の高騰や客単価・来店頻度の低下などの理由により
経営が厳しい美容室が多いといいます。
しかし、美容検索サイトでは
「美髪課金」が2024年上半期のトレンドワードとなっており、
同サイトが運営するショップでは、
シャンプー・ヘアケア・ヘアグッズの売り上げは
昨対比で約1.7倍に伸長したと発表しています。
社会的には、「働く現場の髪色自由化」が導入され、
髪色や髪形に対するニーズは高まっていることを考えると、
消費者が美容院にいかずに、セルフでケアできる商品を求めていることが推測されます。
いつものお手入れに頭皮ケアアイテムを投入したり、
トリートメントを強化し“美髪を自分で育てる”ニーズは
今後も拡大していくのではないかと、予想されます。
4.2025年の美容トレンドはどうなる?
2024年は、
続く物価高や円安の加速に加え、
南海トラフに初の「巨大地震注意」が発令されるなど、
国民が先行きに対する不安や、
自然災害の恐怖に直面したストレスフルな年でした。
不安定な時代は“森林系の香り”が流行る、と言われていますが、
まさしく2024年に発売された商品をみていくと、
「ヒノキの香り」や「森林浴」「フランスのアルデージュ地方の森」といった
樹木系の香りが目立ちました。
香りの傾向だけでなく、災害レベルの暑さに対応した商品をみても
「自分がどう心地よくすごせるか」という視点が購入動機に繋がっていると感じました。
2025年もこの視点は引き続き重要なポイントになってくると思います。
カテゴリーとしては、従来の「スキンケア」「ボディケ」「ヘアケア」に加え、
「口腔ケア」「メンタルケア」にも注目が集まっていくのではないかと思います。