世界的なクリーンビューティの流れを受けて、2016年頃からファッションの世界で、
西海岸のヨガウエアから派生したスポーツウェアを日常着にとりいれた
“アスレジャーファッション”が注目を集めました。
その流れが美容業界にも波及し、
2019年前後から“アスレジャーコスメ”ブランドが日本でも誕生しました。
今回は、近年再度、動向が注目されている“アスレジャーコスメ”について
調べていきたいと思います。
1.“アスレジャーコスメ”とは?
アスレチック(Athletic、運動競技)」と「レジャー(leisure、余暇)」
を組み合わせた造語“アスレジャー”は、ファッションのムーブメントとして
海外セレブの間で流行ったのが発端ですが、その思想が美容業界にも広まり、
“アスレジャーコスメ”として、広まりました。
背景には世界的な“クリーンビューティ思想”が追い風となった可能性があります。
日本でも2019年前後に、大手を中心としてヘアケアやスキンケアブランドが誕生しています。
主に、スポーツシーンを想定しており、
機能性・利便性・携帯性に優れ、時短にもなる商品が多いことが大きな特徴となっています。
年齢・性別・肌質を問わないダイバーシティなアプローチをしているブランドが
ほとんどです。
2.“アスレジャーコスメ”ブランドの商品について
水が使えないような環境でも洗顔ができる、洗い流し不要のふき取りタイプの洗顔や、
屋外で使いやすいボディ・髪・地肌に使えるUVミスト、
汗をかいた後シャワーが浴びられない時に便利な
長時間の殺菌防臭効果のあるデオドラントミストなど、
かなり細かく使用シーンを明確にして商品開発を行っている印象です。
トリートメント効果もある泡立たないシャンプーなど革新的な商品も見られ、
スポーツ時に限らず災害時や介護の現場などでも活躍しそうな商品だな、と感じました。
過酷な使用シーンの想定という切り口でいうと、
今年の1月に大手から発売になったブランドは、
心と体に極限の負荷がかかり、資源の限られた過酷な環境「宇宙」をコンセプトにしており、
過酷な環境下と、現代の私たちのおかれた心身ともに負荷のかかる状況を、
オーバーラップさせた見せ方という共通点が見られました。
3.機能面のアクティブアプローチだけでなく、香りによる癒しも
“アスレジャーコスメ”と聞くと、
アクティブなイメージを思い浮かばれると思いますが、
香りによるアプローチは、「森林の香り」など、
深いリラックスや、心地よいリフレッシュをもたらすような香調の傾向が見られました。
近年頻発している、自然災害や不安定な社会情勢から
日常的にストレスを感じている方も多いと思いますが、
“アスレジャーコスメ”に限らず、
2024年に発売更されたスキンケアの新商品をみてみると、
「ヒノキの香り」や「森林浴」「フランスのアルデージュ地方の森」
といったキーワードが見られ、
心身共に癒されながらスキンケアやヘアケアをしたいというニーズは、
今後も高まっていくと予想されます。
4.“アスレジャーコスメ”が日常コスメに?!
近年の地球温暖化による、世界的な異常気象は、
私たちの肌にとっても過酷な状況であることは間違いありません。
“アスレジャーコスメ”は、一般的な化粧品に比べ、
スポーツ中や前後の過酷な肌状況を想定しており、
シンプルなステップでありながら、多機能な商品が多く、
気温・湿度・乾燥などの環境の変化に適応し、
皮脂・汗に強い設計となっているのが特徴です。
また、ほとんどの“アスレジャーコスメ”は、
性別や年齢に関係なく使用できるテクスチャーや香り、デザインを採用しており、
そのあたりも多様性が求められる現在のモードとマッチしているといえます。
今年の夏も長期にわたり酷暑が続き、
体感として肌だけでなく心身の負担を実感した消費者も多いのではないでしょうか。
今後、多機能でシンプル設計な“アスレジャーコスメ”を
デイリーコスメとして使う消費者が増えていくかもしれません。